プラスとマイナスの匿名論

ごにょごにょ考える。

その1

小倉さんは「実名にすべし」とも「実名を出せ」ともおっしゃっていなくて、あくまで「実名にした方がよい」とおっしゃっているに過ぎません。

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じゃあ、せっかくですので俺も「匿名にすべし」じゃなくて「匿名の方がよい」とおっしゃってみます。

その2

「コンビニで買い物をしたり、居酒屋で隣のおっちゃんと話すときと同じくらいの感覚」というのは実名を出していなくとも実際にはトレーサビリティはものすごく高いのです(本人が目の前にいるわけですから当然の話ですよね)。

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この文章を読んで、トレーサビリティには2種類あるということに気がついた。

  1. その場に誰かが存在しているという実感をもたらす感覚的トレーサビリティ
  2. 相手の所在を追跡するための実務的トレーサビリティ

で、福田さんが言うトレーサビリティは前者なのかもしれませんね。居酒屋で隣のおっちゃんの顔を覚えて、後日そのおっちゃんの家に行けるかと言われたら実に難しい*1ですから。


けどこの考えでは、匿名に対する感覚的トレーサビリティを福田さんは低く見積もっているということになるんですよね。そのように見積もっているかどうかの真偽を今この場で想像するつもりはないですが。
結局、匿名であるなしに関わらず相手は人間であることに替わりない以上、感覚的なトレーサビリティが匿名ネット社会においても失われることは無い、と思うのですが、でも 「匿名は姿が見えなくて不安だ」 と感じる人も多いですから、そうそう簡単な事ではないっぽいですね。


って思ったところで一冊のライトノベルを思い出した。

「残念ながら他の大部分の人間は適応している。無感情な高速の文字情報をちゃんと流さず読み、言葉の端々から感情を想像で読み取って、ね。それができなくて周囲を誤解してトラブル起こしたり、不平を述べる人間は、こう言われるんだ。──脱落者、と」
電詞都市DT(デトロイト)〈上〉―都市シリーズ (電撃文庫) P54

いや、思い出したところで別にどーしたってわけでもないですが。この引用は単なる連想ゲームです。

その3

集合知は「意見が多様であればあるほど」その「解」に近づきにくくなるわけですから、意義深くはならない筈です。

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多様性が無い状態で上昇する価値は 「集合知が判断した解の価値」 であり、集合知そのもののは多様性が”保障”される状態にのみ価値を持ちます*2
お間違えの無いようにお願いしたいですね。


 

*1:不可能ではないにしろ

*2:多様性が無い場合には集合する必要がそもそもありません