表現規制@同人誌の基礎知識

「同人誌と表現を考えるシンポジウム()」に出るための自分用メモ。

批判的意見から覗く、同人誌の問題点

同人誌しかり漫画・ゲーム等に対する批判的な意見を聞くと、それら意見には幾つかのパターンがあることが良く分かる。例えば性表現や暴力表現など、現実に実行しちゃったら警察のお世話になるような表現に関しては、大きく分けて『教育的悪影響』『精神的悪影響』『社会的悪影響』がある模様。まずはそれらをまとめてみる。

教育的悪影響

いわゆる『知識を持たない子供に誤った知識を与えうることは悪である』という考えで、正しい知識を持った成人に対しては悪影響は少ないが知識に乏しい子供には悪影響があるという考えらしい。この悪影響の回避方法は、教育の充実(特に肉親からの情操教育・性教育)と、レーティング(つまり年齢制限いわゆる18禁)の徹底。
レーティングに関しては徹底されつつあり、商業ゲームに関して CEROソフ倫メディ倫などの自主規制団体が主導で、店頭販売は年齢確認を行うところも多い(100%ではなく、サボるところもやっぱりある)。ただし一般書籍や同人誌に関しては明確な自主規制団体が無く統一された自主規制が無いという印象がある。また通信販売に関しては年齢確認が行いにくいのも難点。
なお警察庁バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」が関連団体にレーティングの徹底を訴えている()。

精神的悪影響

教育的〜と異なり、正しい知識を持った成人に対しても悪影響があるという考え。曰く『長く親しむことで脳や身体が慣れてしまい、犯罪的行為を行いやすい状態に洗脳される』という考え。この悪影響の回避方法は、慣れを防止するために1日の接触時間を制限するか、販売自体を禁止すること。
この考えでは、しばしば『米軍は兵士の訓練にゲームを用いている()』という実例が批判側から出てくる。しかし強力効果論は否定されているので結局は各個人の思考に左右され、俗に言う洗脳のような状態にはならないという反論がある()。
また時々ニュースにて『ゲームなどに影響されて犯罪を犯した』という証言が出てくることがあるが、それは単なる責任転嫁であるという反論も少なくない。

社会的悪影響

これは性表現や暴力表現を大っぴらに見せる事を良しとしない風潮に由来する。また良しとしない理由として上記の悪影響と併せて批判側が主張することも多い。
これはテレビドラマでもしばしば暴力表現に対して批判が来ることと同じことだと思われる。この悪影響の回避方法は、単に広告などを自粛したり店外から見えない商品棚に陳列すれば良い。つまりその逆を行えば批判が来るので、昨今のマスコミ各社による過熱したオタクや秋葉原特集も、それら悪影響を助長する要因の一つになったことは否定できない。ただし自粛しすぎると今度は地下活動と呼ばれて叩かれることも予想できたりする。

児童ポルノ禁止法と警察庁研究会に関して

警察庁バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」では、暴力表現と共に性表現、特に児童ポルノ禁止法に関わる分野に関しても議論されている。
現行の児童ポルノ禁止法は、児童ポルノの被写体である”実在の児童”が持つ人権を保護する法律である。そのため漫画・小説・同人誌などに描写される、いわゆる『架空の児童』に関する規制は盛り込まれていない()。しかし架空の児童であっても先に上げた教育的悪影響・精神的悪影響が懸念されるとして研究会に取り上げられた。
ただし同研究会の議事録を見る限り、『成人が児童ポルノに触れて児童に性的興味を持つ』と『児童が成年向けメディアに触れて教育的悪影響を受ける』を明確に区別せず、単に『児童に悪影響がある』の一言で済ましている感じがある。議事中に『成人が〜性的興味を持つ』の実例として1つ事件を取り上げていたが、最終報告書で提言したのはレーティングの強化、つまり『児童が〜悪影響を受ける』が主であった。



間に合えば他にも追加するかも